ふるさとの加藤嘉

2020-06-06

映画紹介

徳山ダム建設で湖底に沈む、岐阜県の徳山村を舞台にした1983年の映画「ふるさと」を観ました。観る前のイメージは、ダムに沈む村の悲哀を描く社会派な映画、という感じで”ちょっと重そうだな”とそれほど期待はしていなかったのですが、消える古い暮らし=自然の中での老人と少年のふれあいが暖かく、そして主人公、村の老人役「加藤嘉」の怪演がすごい映画でした。

ダムに沈む徳山村の老人・伝三は、妻を亡くして痴呆症状が現れ始めていました。かつて伝三がアマゴ釣り名人だったことを知った隣家の少年・千太郎に誘われ伝三は一緒に釣りに行くようになると、病状は軽くなり平穏な日常が戻ってきました。しかし長雨が続き釣りに行けなくなると痴呆症状は狂的になり、隠居部屋を破壊するほどになってしまいます。千太郎はそんな伝三に長雨で中止になった秘境・長者ヶ淵へ釣りに連れて行ってくれと頼みます。平静を取り戻した伝三は千太郎と長者ヶ淵へ向かいます‥。

とにかく加藤嘉の鬼気迫る演技は必見です。モスクワ国際映画祭で最優秀主演男優賞を受賞しており、映画祭の審査員は、加藤の演技がリアル過ぎて、本当の痴呆症老人と思ってしまったと言われています。昭和に活躍した俳優は、本当に存在感ある人がたくさんいました‥。


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横浜在住グラフィックデザイン・イラストレーター。詳細はHP「+ELPH+」のProfileに記載。

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