そんな歌で勝手に夢想してしまう”その後”を描いたような小説を読みました。昭和を舞台にした「ノスタルジックホラー」の名作が多い朱川湊人の短編集「幸せのプチ」の最初の話「追憶のカスタネット通り」という作品です。
"ある理由から三十数年ぶりに彼女を捨てたこの町を訪れた主人公が、あの頃の思い出にひたりながら町を巡り、唯一当時と変わらない行きつけの喫茶店「青猫」に入ったことでその後の彼女を知ることになります…。"
この短編集にはホラー要素はほぼなく、商店街や喫茶店、テレビドラマに活気があった時代のノスタルジックでちょっと不思議な縁を描く小説という感じで、都電の街”琥珀”を舞台にした連作短編になっています(それぞれ話の時代は違いますが白い犬プチがポイントで現れます)。
名短編集「花まんま」や「かたみ歌」「いっぺんさん」のような魅力はこの短編集にはないですが、なんとも言えない郷愁をそそる短編集になっています。
● 手紙 - 由紀さおり
● 想い出のセレナーデ - 天地真理


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